墨肌の色
現在取り組んでいる公募展作品、生意気を申し上げると…
少しずつ方向が見えてきました。
まだまだあちこちに彷徨ってはおりますが、こう、何か、身体からむわっと湧くような、鳩尾が胸焼けするやうな、あの感じを只管構築しています。
書作品に限らず様々に広く文学・芸術作品に出会った時、心に留まる、とはこの胸焼けの度合いであるように思います。対峙して、良くも悪くも身体に心に反応が起きること、動かされることを楽しむのが、鑑賞でしょうか。
作品の作り手である側のわたしの求めるところは、構築して必然を得た、胸焼けです。
作品上では誰かを想って描く光は儚い、貴方の胸焼けを期待してのカタチなど忽ち腐ってゆくのでしょう。求めた必然の閃光に身を灼かれる、そう云う意見を持って探究しています。
支持体にプラスを施すのが絵画なのかも知れませんが、わたしはmodelingよりもcarvingでカタチを探る手間が好きです。中々如何して、妥協が無いですから。
肉を削ぎ落とし、熱を削ぎ落とし、骨のぎりぎりで露わになるカタチ。
みなもより下、水の底、浸みて行く行為の跡、無音に潜む、墨肌の色。
必要とされていなくても構いません、有為の奥山、目の前の山を黙って登るのみ。
結果、貴方を動かしてみせよう。
毎日は苦しくて苦しくて、苦しくて、充実してゐます。